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スマートフォンのQR決済を提供する各社が、日本よりも普及が進み技術者も多いインドの知見を取り込もうと、相次ぎ現地に開発拠点を設けている。インドの技術者と連携し、各社が決済アプリの起動速度を早くするなど使い勝手の改善につなげている。QR決済は中国が世界で最も普及しているが、「経済安全保障を第一」に(PayPay幹部)優先し、自由と民主主義など価値観の近いインドの技術者を重視している事情もあるようだ。
PayPayは10月28日、インド北部のハリヤナ州に開発拠点を開設したと発表した。現地に開設することでインドの技術者を雇い入れて自前の開発機能を強化する。PayPay幹部は「(比較的)インドは賃金が安く、エンジニアも豊富だ」と話す。
auPAYを提供するKDDIも昨年3月にインドに開発拠点を開設。同国の技術者と共同で「起動速度を0・01秒単位で改善するために処理を見直している」(KDDIの菊池良則auPAY企画部長)。
楽天は2014年に開発拠点、楽天インドを開設した。9月には、楽天ペイのアプリに楽天などのクレジットカードを登録することで、アプリを立ち上げずに決済が可能になる機能を追加。陸驥翔(きしょう)ヴァイスマネージャーは「今回の機能追加でアプリの起動時間をゼロにできた」と胸を張る。
国際決済銀行(BIS)の統計によると、QR決済などインドのキャッシュレス決済比率は、世界トップクラスで毎年普及が進んでいるが、世界で最も普及しているのは中国だ。ただ、中国は個人情報の取り扱いなどの面で懸念があるため、PayPay幹部は「中国に開発拠点を置くことは経済安全保障上、ないだろう」と指摘する。
筆者:大坪玲央(産経新聞)